「細部に神は宿る」
岡崎市内で教職に就いていた私は、その後、以前より興味があった庭師を目指し、一人親方の下で修業を始めました。しかししばらくしてひじを痛め、やむなく現場から離れることになりました。そんなとき、人から勧められ、職業訓練校造園科で基礎から樹木や庭づくりについて学ぶこととなりました。
卒業後は老舗造園会社に勤め、様々な業務に携わりました。しかし現場では効率とスピードが優先され、一つひとつのことにこだわりたい気持ちと裏腹に、それができない場合もあり、ジレンマを抱えていました。
しかし年数を重ね、自分が現場を取りまとめる立場になると、当たり前のようにスピード優先で進めるようになっていました。
そんなとき、ふと一人親方の下での修業時代を振り返った時、親方からかけられた言葉がよみがえりました。目の前のことをこなすのに必死で、こずるい要領のよさを覚えてしまった私が叱られたときのことです。
「細部にこそ神は宿る。気づかれにくい部分の手入れ、隅々まで行う掃除、そういうところに気を配る者が庭師と呼ばれるんだよ」。
当時は表面的にしかとらえられませんでしたが、経験を積んでようやく深いところまで理解することができたのです。
それ以来、効率と丁寧さを両立できるよう努力と工夫を重ね、徐々に評価をいただけるようになりました。仕事に自信を持つことができ、開業する決心ができたのは親方と会社のおかげです。
今は細やかさ、丁寧さを心がけて仕事に取り組み、真の庭師を目指しています。